キングオブコントを見た。

今回は,迂闊にも録画をし忘れてしまったので,うろ覚えのまま,コンビごとに印象に残っているところだけ勢いで感想を書いておこうと思います。

  • TKO

1本目の葬式のネタは普通に面白いネタだと思うのですが,確か,いろいろなところで披露してる有名なネタだったでしょうか。
その分,上手いのだけど,目新しさがない,というのとネタ順が最初だということもあって,1本目の点数がその後のロッチ,ピースよりも若干低かったのかなあと思いました(個人的には1本目の点数は,ロッチ,ピースより少し上でもおかしくないと思った。)。
それと,TKOの他のネタのパターンとも似ているところがあり,見ている方もそれを感じているから,安定度の高いネタだけど,意外性が無くてその分損しているというか,不利なのかなあと思いました。

二本目のネタは,見た直後は納得の高得点だと感じたのですが,時間が経った今,冷静に考えると,900点台は高すぎか?とも思えてきました。去年も二本目のネタから点数のインフレ化が顕著でしたが,それでも去年の900点台って東京03だけだったような。
今回のTKOはエレキコミックのネタの後に歌ネタを持ってきたというのも良い影響があったのでしょうか。
しかし,これは「TKOならでは!」という良ネタですよねえ。マイクを持って歌を歌う木下さんの存在感,うさん臭さ,面白感が半端ではない。
それと,木本さんがイスから転げ落ちて突っ込むシーンが光っていました。
グッドなタイミングとリアクションの転がりだと思います。
でも,二本目のオチは「あれ,これで終わり?」という印象でした(暗転のタイミングがほんのちょっと遅いせいというのもあったかも。)。

去年の大会でTKOが審査員席にいた時に,木下さんの笑っている姿が一度も映らず,そうとう悔しい思いを持ったまま審査しているんだろうなあと強く印象に残っていたので,今回応援したい気持ちがちょっとあったのですが,結果的には妥当な順位に落ち着いたのかなあとも思いました。

  • ロッチ

1本目のネタはロッチらしい発想で,じゃれ合う感じのシーンとか楽しく見られたのですが,前半の指を鳴らすやりとりがくどすぎたかなあとも感じました。
オチもベタすぎた気がしました。
2本目のネタは,以前レッドシアターか何かでみたことのあるネタだったのですが,面白い印象のネタだったので,はじまってすぐ,これは2本目に良いネタ持ってきたなあと思いました(去年は2本目に失速してしまったので。)。
「店長という立場上怒らなければいけないのだが,隠しきれない嬉しさがどうしようもなくにじみでてきてしまう」コカドさんと「決して万引きをしてしまったことから逃れるためにヨイショするのではなく,自然に商品の魅力を話して意図せぬままに店長を気分良くさせてしまう」中岡さんの関係性が絶妙で,二人の演技が光っていました。
なので,781点という結果が出て,意外な低得点にびっくりしました。
冷静に考えれば,単調な展開で先がある程度読めてしまうというのはあるのかもしれないですが,個人的にはロッチの1本目よりも楽しめたので,830点台位かなあと予想してましたねえ。TKOの直後というのも影響したのでしょうか。

  • ピース

ピースは最近バラエティでちらほらと目にする機会が増え,二人ともそれなりにキャラが立っており,陰と陽みたいな,良いバランスのコンビだなあと気になり始めていたところだったので,かなりわくわくしていたのですが,そういえば,おそらくピースのショートネタ以外のネタは,ちゃんと見たことがありませんでした。
なので,今回2本のネタを見て,良い意味でいろいろと予想を裏切られました。
1本目の山姥にしろ,2本目のハンサム男爵や化け物にしろ,ちょいちょいファンタジー仕立て?の設定が入っているのはなんなんだ(笑)と。
なんとなく,真面目なきっちりしたフツーのコントをやりそうな勝手なイメージがあったので,ファンタジーキャラ設定や1本目の「なんだこりゃ」っていう展開(と選曲)や2本目のハンサム男爵のツンデレっぷり(というかそもそも「ハンサム男爵」ってなんなんだw)等のはっちゃけた発想の飛び方(ずれ方)がとても心地良かったです。
まあ,冷静に考えれば2本目が942点というのは高すぎる気がしますが,芸人評価が高くなるというのもなんとなく理解できるような気もします。
ただ,1本目については,後半の展開ばかりが目立ってしまうのですが,設定がわかりづらかったのが気になりました。
最初に「え,いきなり山姥ってなに?」ととまどい,「こっちの男の人は・・・ああ,やっぱり役場の人なんだ」という感じでたどたどしく設定を説明されたという印象です。
それとネタが終わった後に,そういえば綾部さんは熟女好き芸人だったなあと思い出したら,山姥コントの展開に説得力が出てきて,ちょっと面白かった。
2本目については,単にツンデレっぷりをクローズアップするのであれば,化け物設定にしなくてもコントを成立させることができたのでは・・・と一瞬よぎったりもしたのですが,いや,これは化け物設定のコントだからこそ,その設定を生かして,より馬鹿馬鹿しく妙な面白さを醸しだすことができ,コント後に心がほっこりするんだろうなあと思い直しました。

キンコメは優勝候補の一組だと思っていたのですが,実際に今回二本とも完成度の高いネタだったので,納得の優勝でした。
なんというか,レッドカーペッドなどのショートネタでは今野さんのキャラや勢いばかりが目立ちがちなのですが,ライブのDVDで長めのネタを見ると,ネタが緻密で意外と構成がしっかりしており,キャラクターや勢いに頼っているだけのコンビではないなあという印象だったのです。
なので,優勝を機に,もっと能力に見合った評価をされてどんどんテレビに出てもらいたいなあと思います(バラエティー的な能力があるのかどうかは,まだ良くわからないのだけど。)。
1本目については,初めて見るネタだったのですが,腹を殴られる時の動きや銃を突きつけられた時の表情,(うろ覚えですが)「大人をなんだと思っているんだ」→「寂しがりや」というフレーズ等,手数が多いのに,ほとんど外してる部分がなく,オチも決まっていたように思います。今野さんのキャラも2本目同様,ネタにとても良くマッチしており,一方,高橋さんのツッコミもクールに突き放すようなものだったり,要所では暴力的で直接的なツッコミだったり,と変化が効いていて良かったです。
2本目については,ライブのDVD(記憶が確かならば「第5回単独ライブ『誤解』」)で見たことがあるネタだったのですが,このネタもよく練られた構成の良ネタだと思っていたので,教習所のネタだと分かった瞬間,これは優勝は堅いのでは・・・とうれしくなりました。
が,緊張もあったのか,2本目はいつにも増して高橋さんの滑舌が不調で,ぎりぎりアウトになるかならないかという噛みかけの滑舌も含めると3カ所以上危ないシーンがあったと思うので,結果発表の時はこれがどう影響してくるかと,ハラハラしておりました。

ジャルジャルは,面白いネタとそうでないネタの波があるコンビというイメージがありますねえ。
おそらく,一つの発想を軸にして,それをとことん繰り返していくパターンのネタが多いので,一つの発想がはまればじわじわと面白くなるのだけれど,受け手によって,はまりにくかったりすると繰り返しの展開を単調に感じてしまうのだと思います。
なので,発想の意外性に加えて,最大公約数的な笑いも求められる賞レースでは,ジャルジャルの芸風はよっぽどネタ選択を上手くしないと,優勝は難しいだろうなあと思っていました。
今回は,1本目のネタは発想こそシンプルですが,二人が織りなす生理現象奇音のハーモニーが徐々に重厚になっていく様子が不可思議に馬鹿馬鹿しく,個人的に,かなり好きな部類のネタに入ります。
一方2本目のネタは自分にはあまりはまらなかったですねえ・・・。なので,898点という点数が出て,驚きました。オチ以外は1本目の方が面白いと感じましたし,しずるの1本目のネタと同じ点数だったので。

点数はともかく順位は妥当な結果でしたねえ。
なんというか,エレキコミックのネタは,良く言えば,わかりやすい平均的な,安心安全な面白さがあるのですが,悪く言えば凡庸な発想のネタとも言えるので,特に今回のようなメンバーの中に混じって芸人に審査されると,極端に低い点数になってしまうのかなあというのも納得できる気がします。

ラバーガールは実力があるのは確かなのだけど,感情を表に出さないシュールな芸風が本大会でどのように評価されるのか,という点で楽しみにしていました。
結果,意外な程,正当に評価されていたような気がします。

  • しずる

1本目のネタは初めて見たのですが,すごく良くできた構成のネタで,流石しずる,という感じに面白いですねえ。オチもきれいに決まっていたように思います。
ただ,強いて言えば,なんというか,あまりにも完成度の高い・・・えー,良い表現が思い浮かばないので主観丸出しでニュアンスだけで書きますが,デジタルでスタイリッシュな感じのネタなので,これは,しずるじゃなくても演技力の高い人が演じればそれなりに面白くなるのではないか・・・と思わせてしまうのがちょっとマイナスで,しずるは優勝に近いけど,優勝は難しそうな気がする原因なのかなあと思ったりもしました。
実際は他の人が演じても同じぐらい面白くなるほど甘くはないんでしょうけど,ちょっとでも,そう「思わせる」ほど,良くできた台本で,かつ,他のコンビに比べキャラの個性が強くないのが結果に表れているのかなあと思いました。
2本目は,1本目と比べて言葉遊び的な笑いが多く,どちらかというと,1本目のネタのパターンよりも青春コントに近いタイプのネタでした。
これも良く出来たネタで普通に面白いと思うので,個人的には850点位いってもいいんじゃないかなあと思いました。
ですが,大まじめにパンティーにこだわり続ける男二人のやりとりの馬鹿馬鹿しい(はずの)やりとりが,しずるのキャラに,今ひとつ,はまっていない気もしました。
言葉遊び等も含めて上手いネタだというのはわかるのですが,上手すぎるというか,まじめすぎるというか,キレイすぎるのが目に付くので笑いが遅れを取っているというか・・・えー,やっぱりこのもどかしい思い,うまく言えないですねえ。