いまなおなう

先ほどスーパーに行ったらいつもは298円で販売されているプリングルスが198円で売られていました。
しかし,最近は体重がちょっとあれであれなもので,プリングルスの購入を控えていたということもあり,しばしプリングルスの前で購入するかどうか逡巡しておりましたところ,いやあ,こういうことって本当にあるんですね。
私の頭上にぽわぽわぽわ〜んと悪魔と天使が現れ,漫画やコントでよく見るような例のやりとりを次のとおり始めたのです。


悪魔:いいじゃんいいじゃん,買っちゃえよ。折角安いんだからチャンスじゃないか。
天使:だめよ,だめだめ!せっかく以前は198円のプリングルスが,円安の影響からなのか298円になったのをきっかけに,ずっと買うのを我慢していたじゃないの!特売だからといってすぐに買ってはだめ!体重がますますあれであれになっちゃうわよ!!
悪魔:だからこそ買うんだよ。この機会を逃したら198円でプリングルスを買う機会なんてなかなか巡ってこないぜ。
天使:た,確かにそうなんだけど…
悪魔:今回,一つ購入したくらいで,体重に影響は出ないだろうよ。今回だけいいじゃん,な,な?
天使:う,うーん,今回だけならいいかなぁ。
悪魔:そうさ,今買わないでいつ買うの!
悪魔&天使:今でしょ!


このようなやりとりを真下で見ていた私はたまらず二人の会話に割って入っていったのです。


ヒゲ:ちょっと,よろしいですか?二人に一言もの申したいことがあります。
天使:なんですか?
悪魔:なんだよ,いきなり。
ヒゲ:私は安易に流行語を多用する昨今の風潮があまり好きではないのです。確かに使う場面や使う人によってはまだまだ面白い使い方ができるのでしょう。しかし,あちこちで使いまわされて,すでにぼろぼろになっている「今でしょ!」をあなたがたがこのタイミングで使ったのはいかがなものかと思うのです。
   使い古された流行語は非常に使い方が難しいので,どうしても使わざるを得ない,ここぞという場面で使うべきであって,あえて今の会話の中で使う必要はなかったのではないのでしょうか。私はあなたがたのやり取りを冷ややかな目で見ていましたよ。「今でしょ!」を使うタイミングはいつだと思いますか?
   今じゃないでしょ!
天使:うーん,そうは言っても,私たちはあなたですからねぇ。
悪魔:そうだそうだ。
ヒゲ:え
天使:私たちを否定するということはあなた自身を否定することになるのですよ。
ヒゲ:むぐぐ。
悪魔:それにあんただって,「今じゃないでしょ!」とか言ったけど,ちょっと無理があったんじゃないかなあ。
天使:そうね,話の途中でうまいこと思いついたと思って無理やりねじ込んだ感があるけど,大してうまくもなんともないわよねぇ。
ヒゲ:むぐー,あうあう。
悪魔:まあ,あんたも無理しないで,俺たち二人の存在を認めて受け入れなよ。
ヒゲ:・・・
天使:あなただってプリングルスの前で逡巡していたってことはプリングルス成分が不足していたんでしょう〜
ヒゲ:そうですよ。
天使:え?
ヒゲ:もう自分を客観的に見るのはやめにします。私は私です。あなた方の言う通りです。だからあなた方も・・・


という感じで,アフタヌーン先月号の「げんしけん二代目」の波戸くんのように,セカンド自分的な存在を内に取り入れることに成功しました。
要するに,プリングルスを購入した,というわけです。
そして私の目の前にはプリングルスがあります。
これから私はプリングルスをほうばります。
舌鼓を打ち,幸せな気持ちになり,その後布団に入り,安らかな表情を浮かべて眠りにつくのでしょう。

おやすみなさいませ。