口吸い逡巡

先日、夜11時をまわった頃だと思うんですけど、飲み会の帰りにひとりふらふらと道を歩いていたら、
私の20メートル先くらいに、若い男女がいて、おもむろに立ち止まったかと思うと、すすすと
身を寄せ合ったのですよー。


おやおや、ほほう、これはこれは・・・
と思って眺めていると、20メートル後方に私がいることを知ってか知らずか、歩道のど真ん中で
キスを始めちゃったんですよねー。


このままのペースで歩行を続けると、どうしてもその男女の情事のまっただ中、二人のすぐ脇を
通り抜けなければいけない事は確実だったので、はてさてどうしたものか、と一瞬迷ったんですよー。
選択肢としては

  1. 見ないふりをして何事もなかったかのように横を通り過ぎる。
  2. とりあえず、事が済むまで立ち止まって、事が済んだ後に歩き始める。
  3. 横断歩道を渡り、道路の反対側の歩道を歩く。
  4. あえて、男女の情事中に突っ込み、脇で立ち止まってチッと舌打ちしてにらみつつ通り過ぎる。


の4つだと思うのですけど、数秒迷った末に、3を選んだんですよー。
家に帰るには、やや遠回りになるけど、まあいいかーってな感じでー。
若者よ、思う存分、互いの口を吸い合うがいい!
老兵は去るのみ!
歩道は君らのものだ、さあ、どうぞお続けなさい、ふんがふんが、
って感じで道を譲ることにしたんですよー。
ですよですよー。


そうしたら、タイミングが悪かったのか、横断歩道の信号が青になるまでに1分近く待たされてしまって、
なんだ、これだったら、最初から2にすればよかったなあ、判断を誤ったなあ、と思ったんですよー。
ほいでもって、もうそろそろ事が済んでいるころだろうと思ったんで、結局、横断歩道を渡るのを止めて、
元の歩道を歩こうと、体の向きを戻したんですよー。


そしたらですねー、まだ吸い合ってるんですよー、若者たち。
まだ終わらないの!?
長いよ君たち!!
とかなんとか思ってですねー。
体感時間にして約1分強もの間、吸い合ってるなんて、恐るべきは若者のハングリー精神よのう、
って思ってー。


20メートル後方にいる私の元にまで、
むちゅー、むちゅー
という淫音が聞こえてくるような濃密な様子を見て、あらあら、これは正しい選択肢は4だったわねえ、
という結論に至ったというお話でしたよ。
おっしまーい。
あっははー。