はちみつれもんノスタルジー

小学生の時にお楽しみ会というものがあった。
年に約2,3回、学期末などの節目に仲の良い友達とグループを作って、それぞれなぞなぞだとか、劇などと
いった出し物を披露しあったり、イス取りゲームやフルーツバスケットなどをして遊ぶ会だったと思う。
中にはマット運動だとか手品だとか人形劇だとか凝った出し物をするグループもあった。
記憶が定かではないが、昔「クイズ年の差なんて」という番組の問題にもなって
いたぐらいだから、おそらく全国的に似たような内容の会が行われていたのではないだろうか。


小学校6年間のうちに何度かお楽しみ会があったわけだが、その中でも一番印象に残っているのが
小学4年生のときのお楽しみ会である。
当時仲の良かった5人とグループを組んで、劇をしようという話になったのだが、そのときの劇のタイトルが
なぜか『はちみつレモン物語』であった。
どういう経緯でそうなったのかは忘れたが、おそらく当時テレビではちみつレモンのコマーシャルがクラスの
一部でブームだったためだろう。
そのなんとなくの勢いにのり、私ともう一人の友人が中心となり意欲的にキャラクターやストーリーを考えていった。


物語はレモン、スカッシュ、といった2人の主人公がバファリン大佐やセイロガン大魔王といった悪の組織に立ち向かう
とかいうなんだかよくわからない小学生らしいものだった。
そして、これもよくわからないのだが、私の配役は物語にあまり関係のない「変なおじさん」というちょい役
とラスボスの「セイロガン大魔王」の役だった。
変なおじさんはサングラスをかけて怪しい動きで主人公に襲いかからなければならない、だとか
セイロガン大魔王は常におかま言葉でしゃべらなければならない、だとか事前におおざっぱな打ち合わせが
あったのだが、お楽しみ会当日になって友人の一人が、「母親の化粧道具を借りてきたから、魔王はこれで今日の
おかまキャラを演じきってくれ」という趣旨のことを言ってきたのである。
かくして当日のお楽しみ会で、私は変なおじさんの役を立派に勤め上げた後、急いで化粧を塗りたくり
小梅太夫のような白塗りの顔で怪しい扇子を持ちつつ舞台に登場して、おかまキャラを演じきったのだった。


普段、特に担任の先生の前ではおとなしい真面目な子供で通していたのだが、このときのお楽しみ会で開き直って
はじけたおかげで、その後担任にある意味、注目されるようになった気がする。
そのため元来の根暗な性質にお調子者という性質が存分に加わり、現在の複雑な人格に少なからず影響を
与えたのではないか・・・と今になって思ったりもするのだ。



ちなみに『はちみつレモン物語』はいい加減な内容でアドリブが多かった割には意外にも好評で、
その後一人の友人と共に『はちみつレモン物語2』という続編を考えてイソジン大魔王だとか、
新たなキャラクターも考えていたのだが、結局うやむやのままになってしまった。
それもまた今となってはいい思い出である。