極論 ・ み ん な 死 ね ば い い の に

3月4日放送の笑金でホリが武田鉄也の真似をして「あーあ、みんな死ねばいいのに!」と言って笑いを
取っていました。
そのキャラ(声)とセリフの意外性に私は大爆笑しましたが、笑いながら
《これはかなり危険性の高い笑いだなあ》
と不安がよぎりました。


なぜならここ最近のお笑いでは、当たり前のように「死ねばいいのに」というフレーズが飛び出しすぎて
いるからです。



例えば2月19日放送のエンタの神様では青木さやかがツアーガイドのネタで「確かにね、私はワンパターンでね
ほんと死ねばいいのに・死ねばいいのに…って何言ってんのよ!」と怒鳴っていたり、はたまた3月2日の
めちゃイケでは(青森では水曜の深夜にめちゃイケがあるのですよ、覚えておきなさい)
バッファロー五郎に対して、岡村が「死んだらエエねん!お台場出た瞬間車にはねられたらエエねん!」
と怒鳴って笑いを取っていました。


私が把握しているだけでもここ数週間のお笑い番組、しかもおそらく中・高生が見るような人気番組で
「死ねばいい」というフレーズが笑いの一つのきめ台詞として機能しているのです。
おそらく、注意深く探せば他の番組でも多く使われているのでしょう。
確かに不意に飛び出す「死ねばいい」というフレーズは、『そこまで言うか』という意外なおもしろさがあり
使いようによっては、高い効果のあるものだと思います。


しかしながらここまで「死ねばいい」「死ねばいい」と頻繁に耳にするようになると、おもしろいという
プラスの効果よりも視聴者、特に情報に対して比較的受動的な子供たちが「死ねばいいのに」
という本来残酷な言葉に対して、麻痺してしまうというマイナスの側面の方が目立ってくるのでは
ないでしょうか。


ゲームや漫画で「人を殺す」という行為が見慣れるようになった昨今ですが、このことと凶悪な
少年犯罪の増加は無関係とはいえないでしょう。
また、ゲームでキャラが死んでも、リセットボタンを押せば初めからやりなおせたり、何度もコンテニューが
できるというのは、今の若者が人生や生に対して、価値を見出せなくなっていることに影響を与えている
のではないかと思います。


それと同様に、お笑い番組で「死ねばいいのに」という言葉が氾濫することは、「死ねばいい」という言葉が
我々の生活の身近に存在することになっていしまい、つまるところ「死ね」という本来、人に向かって
軽々しく言うべき言葉ではないフレーズを、気軽に使えてしまう空気の世の中へと導いてしまうのでは
ないでしょうか。
まあ、考えすぎなところはあるかもしれないけれども。



それにしても、この「死ねばいいのに」ブームの火付け役は一体誰なのだろうか、というところに
私は興味を感じました。
そこで、私の秘蔵お笑い映像を遡って見ていったところ2004年7月2日の笑金スペシャルで「スピードワゴン
小沢とくりぃむの有田のどちらがキモイかお客さんに投票してもらう」という企画で、上田が
「小沢がキモイと思ったら赤のボタン、有田の方がキモイよ、死ねばいいのに、と思ったら白のボタン」
と発言していました。


これ以前にも誰か他の人が「死ねばいいのに」発言をしているのかもしれませんが、これ以上調べるのも
めんどくさいので、くりぃむの上田が最初に「死ねばいいのに」を使っていたということにしましょう。
したがって、今後凶悪な少年犯罪のニュースを見たら、ああ、あのとき上田が軽はずみな発言を
してしまったばっかりに…
と思うことにしましょうね。