アプシャ記念日

自宅で一人鍋パーティーの準備をしていたときのことなのですが,鍋が完成間近になり,
さぁーもうすぐできあがりだぞー,るんたったーずんたったー
と浮かれ気分でいたこともあって,自らの指の耐熱温度を過信した私は,うっかり素手で鍋のふたをつかんでしまい,想像をはるかに上回るふたの熱さに衝撃を受けたため,思わず
アプシャー!!
と大きな声をあげたのでした。


すぐに指を水で冷やして,その場は事なきを得たのですが,できあがった鍋を,ふはふはと食している際に,ふと,
(私はなぜ,「アプシャー!」と声をあげてしまったのでしょう。通常であれば「あちっ!」とか,「あっつー!」と声を上げる場面ではありませんか?)
と疑問に感じたため,いったん箸を置いて,しばし考え込んだのです。


思うに,私は「熱さにダメージを食らった自分」を認めたくなかったのでしょう。
鍋のふたを触り,熱いと口にしてしまったら,その時点で「熱さにダメージを食らった自分」を認め,これから巻き起こる至福のひととき(=鍋に舌鼓を打つ時間)に水を差されてしまったような状態になってしまうので,そのような愚かな時間を設けたくないという心理が働いたと推測されるのです。
私の鍋に対する自尊心の高さが発した『アプシャ』
これを日本語訳するならば
『こんな熱さがなんぼのもんじゃい!ワイの鍋に対する思いは,これしきの熱さではへし折られへんで〜!!』
という表現になるのでしょう。

こうして,アプシャの謎が解け,胸のつかえがとれた私は,再び鍋に舌鼓を打ち,至福のひとときを過ごすことができたのでした。


「あっつー!」と
言わずに「アプシャ!」と言ったから
4月5日はアプシャ記念日