霞食系を考える。

少し前に,巷では肉食系男子やら草食系男子やらとカテゴライズするのが流行っていたようで,それらの言葉の正確な定義はよくわからないのですが,おそらく自分自身をどちらかに分類するならば,ぶっちぎりで草食系なのだろうなあとなんとなく思っておりました。
しかし,ふと気付いたのですが,私は年を取るごとに女性に対する情熱が乏しくなっていくばかりか,老若男女,すべての他者に対する関心がかなり乏しいと思われるのです。
それどころか,よくよく考えると犬猫をはじめとする動物も特別好きなわけではないですし,魚も昆虫も好きではないですし,地球上に存在するありとあらゆる生命体に対する関心が薄いのではないかと思うのです。
愛の対義語は無関心だと誰かが言っていましたが,それに基づくならば,無関心の極致に達した私は,愛を喪失した男子ということになり,草食系男子を名乗ることすらおこがましいのではないかと思うのです。


そのようなことを考えていたときに,ネット上で,霞食系男子という文字が目に入りました。
霞食系男子の正確な定義はよくわからないのですが,なるほど,草を食むことすらおこがましい私という存在は,もはや霞食系とカテゴライズした方がしっくりくるのではありませんか。
しかし,ここで問題なのは,第三者から「おやおや,霞を食べて生き長らえている割には,どうにも豊かな胸と腹回りをしているではありませんか,ほ〜ら,ぷーよぷーよ」とにこやかに私の肉体を撫で回されたときには,返す言葉がないということでしょう。


そこで,私は考えました。
そもそも霞がゼロカロリー食材であるというのは,大きな誤りなのです。
ここだけの話ですが,実は霞愛好家の間では常識なのですが,霞にもさまざまな種類があり,テリヤキバーガー味の霞,納豆味の霞,コーンポタージュ味の霞等,さまざまな味を楽しむことができるよう存在しているのです。
当然,自然界にさまざまに存在する霞の中には,高カロリー霞も存在するというわけなのです。
なかでも私は,深夜に,サワークリームオニオン味の霞と,ドデカミン味の霞と,チョコミント味の霞を食べることが多いのです。
なぜならこれら三つの霞は,私のグルメ細胞に適合する食材であるため,ついつい無意識のうちに過剰に摂取してしまうのです。
ゆえに,私の胸と腹回りが豊かな肉々しさをはなっていることと,私が霞食系男子であることの間に,矛盾は生じないと言えるのです。

こうして,私は,晴れて霞食系男子を自称することが可能になったのです。
こんにちは,申し遅れましたがわたくし,霞食系男子のヒゲ山と申します。
以後,お見知りおきを。