ういやーぱりやーそいやー

20代後半くらいから椅子や座布団から立ち上がるときに「よっこいしょっと」とかけ声を上げる癖がより顕著になってきた。
そのたびに,周りから「なんとも年寄り臭いかけ声である」と指摘を受けてきたものの,さほど気にかけていなかったのだが,流石に30を過ぎてから「よっこいしょ」では年齢に見合ったリアリティがともない,周りから哀れみの目で見られないとも限らないので,何とか改善できないものかと考えるようになったのである。


そこで,まずはかけ声の内容を変えようと思い「よっこいしょ」ではなく「そいやっ!」とか「せいやっ!」と勢いのあるかけ声を試みてみた。
これならば一見,YOSAKOIソーラン祭りのような活気がほとばしり,かけ声の若返り化を図れるのではないかと考えたのである。
しかし「かけ声の内容ではなく,体に力を入れる際にかけ声を上げるという行為自体が年寄り臭いのではないだろうか」という考えに至ったため,この案は即刻廃止された。


そこで,次にかけ声を上げていると思わせない方法を取れないものかと考え,試みてみた。
具体的には,「そいやっ」や「せいやっ」の前後に意味を持たない音を付加することで,「そいやっ」「せいやっ」に含まれる「かけ声らしさ」というイメージを引き抜くという試みである。
早速,廊下に置いてあった炊飯器を持ち上げる際に,「ういやーぱりやーそいやーっ」とつぶやきながら勢いを付けて持ち上げてみたのだが,なるほど,確かにこの方法によると「そいやーっ」に含まれる「かけ声らしさ」が損なわれ,はたから見たときに年寄り臭いという印象を持たれることを防ぐ効果があるだろうと推測された。


しかし,この方法により,年寄り臭さの発生は回避できるものの,おそらく,うさん臭さが増大するため,人前で使うことはできないなあという結論に至ったのであり,仕方ないからかけ声を上げるのを我慢するしかないのかなあと思いまーした。