colling higeyama

少し前の試験前夜の話である。
深夜3時ころだっただろうか,
勉強が煮詰まってきたため,気分転換にお笑いのDVDでも見ようと思って,準備をし始めると,
突然部屋の電話のベルが1度だけ鳴り響いた。
こんな夜中に一体誰が・・と薄気味悪くなったが,まあ,あまり気にすることはないだろうと思い直し,
しっかりとDVDを見た。
その結果,気分転換のはずが,逆に睡魔が襲ってきて勉強が中途半端なまま熟睡してしまった。


翌日,誰が何のために電話をかけてきたのかじわじわと気になってきたため,私の部屋に電話をかけそうな
数少ない仲の良い寮生に,試験後尋ねてみたのだが,電話をかけた人物は見つからず不気味な思いだけが残った。
もしや,身内や友人の身に不幸があって虫の知らせとして,ベルが鳴ったのでは・・・と思いぞっとしたが,
幸いなことにそのような事実は起こっていないようであった。


結局電話は謎のままだったのだが,さんざんな結果に終わったこのときの試験の答案が返却された日の夜,
一つの大胆な仮説を立ててみた。
「このときの電話は未来の自分からの電話だったのでは」と。


つまりはこういうことだ。
さんざんな結果に終わって強い後悔の念を抱いた未来のヒゲ山は,
「あのときDVDさえ見なければ一夜漬けが成功し,追加課題の提出を命じられることもなかっただろう。
ああ,そうだ問題の夜の自分に電話をかけて警告しよう!」
ということに思いが至り,時間を遡って電話をかけることを試みる。
しかし,過去に電話をかけて直接会話をするだけの特殊な力は持ち合わせていないため,電話のベルを1回だけ
鳴らして警告の意思を表すのが精一杯だったのだろう。


と,いうことは,当時から見て未来にいる私は,歴史をなぞるために今まさに過去の自分に警告のワン切り
しなければいけないことになる。
わあ,大変だ。どうやって過去に電話すればいいんですか!


演技がかった混乱の最中,私は思う。
ワン切りしたところで過去の私は結局DVDを見て,どっちにしろ結果は同じなんだから意味ないじゃん,
かけるだけ無駄じゃん」
と。
なので,過去の自分に電話をすることは止めることにしました。
がんばれ過去の自分。負けるな過去の自分。
未来の自分に頼らず自力でなんとかしてくれ。
ファイトファイト!