ラーメン屋の娘

私が週に1回は行くラーメン屋が近所にあるのですが、そこは民家をそのまま店にしたような古ぼけたつくりで
いすはガタガタしていて、テーブルはべたべたしているという適当さ加減がヒゲ山にとって非常に
なじみやすい店なのです。
味はまあ、ラーメンというよりは中華そばといった少し風変わりな感じで人によって好き嫌いが大きく
分かれるところなのですが、私は店の独特の雰囲気とうどんのような太くてコシのある麺、にぼしやこんぶ、
かつおぶしのだしが効きつつも濃い醤油味が際だっているシンプルなスープの味がくせになってしまい、
ついつい足を運んでしまうのです。
と、ここまでは特に不満はないのですが、そこではラーメン屋のおやじさんとその女房、娘などで経営しており、ここの
娘さんがいつもいるだけでたいして仕事をせずに、彼女の子供と思われる5歳ぐらいの男の子と戯れているのです。


今日も私がラーメンの味を堪能していると、見た感じ私とそう年の変わらない例の娘が厨房にいる母親に向かって
こんな話を始めました。
「ちょっとー聞いてよー。K(子供の名前)ったらね、お父さんのおならを嗅いだときは『うわーっ、くっさーい!』
って言って逃げ回るんだけど、この間私がおならをしたとき近くにいたのに全然反応しないのよ。
だから『あれ?K?今お母さんおならしたのよ、逃げないの?』って聞いたら『うん。お父さんのと
違って臭くないからいいの』だって。ちゃんとにおいを嗅ぎ分けてるのねー」と感心したように話していたのですが
私は心の中で(別に感心するような話じゃないだろう!いや、そもそも客が食事しているときに「おなら」とか「くさい」
とかいう単語をでかい声で連呼して楽しそうに話すんじゃない!)とつっこみを入れました。


しかし、甘かった。こんな話はまだ生ぬるいのです。
この後ラーメン屋の娘の太ももの裏側のあたりに息子Kと思われる男の子がくっついてきてちょうど頭が彼女の尻
の下にぴたっとなったとき、娘はいきなりこんなことを口走ったのです。
「うわーほらほら、お母さんおならしちゃうよー。出るよ出るよー。出ちゃうよー、はい!ごー、よん、さん・・・」


小生、衝撃。


(え、ええー!出るの?出すの?お客さんがたくさんいてラーメン食っているときに、あなたはカウントダウンを
して店内のすみずみまで周知してまで屁を勢いよくかます覚悟でいるの?)とあせって鼻から麺をぶほっと
噴出しそうになりました。
しかし、私のこのようなとまどいを気にせず娘はカウントダウンを続けます。
「にい…、いちっ!」
うわー!うわー!うわー!(←私の心の声)


「もうー、本当この子はお尻にくっついて離れないんだからー」


・・・?
どうやら放屁宣言は子供を尻から追い払うために脅しとして口に出していただけだったようです。(そりゃあそうだ)
いやあ、ひと安心です。きっと店でラーメンを食っていたお客さんは皆私同様ほっと一息ついていたことでしょう。
それにしても冷静に考えると、ろくに仕事もしないで店内でどうどうと子供とじゃれあっているこの娘は
かなりだめだと思うのですが。
でもラーメンがうまいので結局は娘を忌々しく思いながらも近い内にまた店に行ってしまうんだろうなあ。