エンタの神様

今回のエンタでの注目は初登場のタカアンドトシです。
確か前回のエンタでは安田大サーカスが「安田特大サーカス」という名前で初登場しましたが、ここ最近の
エンタでは若手よりも、それなりの地位を築いてきた中堅どころの芸人たちが多くなってきていると思います。
視聴率との関係があるのでしょうか。
もしかするとこのことに否定的意見を持つ人もいるのかもしれませんが、今回のタカトシの登場は大歓迎です。
なぜなら、中堅どころでも世間にいまひとつ認知されきっていないがために実力通りの評価をされていない芸人が
たくさん埋もれていると私は思うのですが、エンタのように幅広い世代の視聴者がいる番組でネタを披露することは、
そういった芸人のさらなる飛躍につながるため、大いに利用させるべきだと思うのです。


さて、そこでタカトシです。
しかし・・・コントですか。エンタは漫才中心の芸人に対してもとことんコントでネタ披露させますけど、
そこまでこだわる必要ってあるんでしょうか。
タカトシのネタのテンポを生かすためにはコントよりも漫才の方がいいと思うのですがね。
うーん、でも一般受けがいいのはコントなんですかね。
自分もこどもの頃は漫才の良さがわからなかったので。
コントの方が状況が掴みやすいし、子どもやお年寄りも楽しめるという利点があるのかもしれませんね。


で、タカトシのコントはというと、なるほど。
これはこれで新鮮さがありますし、もともと力のあるコンビだけに充分おもしろく仕上がっています。
演技や間の取り方も絶妙で随所にうまさを感じさせます。
特筆すべきは、やはり持ち前のテンポのよいツッコミでしょう。
ここ最近の人気芸人ではアンガールズPOISON GIRL BANDのように長くて説明的なうまい言い回しのつっこみで
笑わせるパターンが多くなってきていますが、タカトシのネタにおけるツッコミはあくまでシンプルに、テンポよく
となっています。


さらにそのテンポのよいツッコミには、たたみかけることによって、ネタに勢いや変化をつけることができる、
という利点があるのです。
今回のネタを例に見てみると、序盤の「犯人か」のツッコミ3連続のたたみかけ。
こういうくり返しの技法を使った笑いは個人的には大好きです。
また、単なるくり返しではなく「牛か」から「飢えた牛か」の発展系のツッコミ。
中盤では「欧米か」に始まり「イタリアか」「スペインか」「北欧か」の変化形ツッコミ。
さらに「北欧か」を受けての「国王か」というボケ担当のタカによるツッコミ。
この彼らならではのたたみかけるようなツッコミは本当に見事でした。


ここでちょっと説明が必要なのですがこの場面でのタカによる最後の「国王か」というツッコミは正確にいうと
ボケなんですよねえ。
的外れなツッコミをすることによって形式上はツッコミなんだけど実質はボケという技術。
ツッコミの体裁をもった「ツッコミボケ」とでもいうべき技の使い方がこのコンビはすごくうまいです。
終盤でもこれと同様にツッコミ担当トシの「原始人か」の連続ツッコミをうけてタカが「クロマニヨン人か」
ネアンデルタール人か」「ジャワ原人か」とツッコミボケのすさまじいたたみかけを放ち笑いをとっていました。
うーん、すばらしい。
彼らの笑いの魅力の一つには、上記で見てきたような変幻自在なツッコミの応酬というのが挙げられると思います。


また、今回はその片鱗を少し見せたにすぎないのですが、このテンポのよいツッコミのもう一つの利点として
「伏線を引きやすい」というのがあると思います。
印象的なツッコミのフレーズをくり返し、聴衆に記憶させておくことで、ところどころでそのフレーズを活用し
オチに集約させる、というやり方も彼らならではの大きな魅力であり武器の一つであると私は、にらんでいます。
残念ながら今回のエンタではそこまでの技は出し切っていませんでしたが、次回以降の出演時には
見せていただきたいところです。