そうだ思い出した。バッティングセンターだ。

今日は朝から久しぶりに、ぽかぽかとした穏やかな天気であった。
その陽気な気候に促されるかのように、無我夢中で家の掃除、洗濯を始めた。
とことん掃除をしようと思い、普段は意識しない本棚の裏のほこりをとろうと本棚を動かしたのだが
そこにはなにやら見慣れない米粒のような、さなぎのようなダンゴムシ状にまるまった白い虫の
かたまりがぼろぼろと転がっていた。


小生、しばしその場に立ちつくす。


動悸・息切れの激しさが徐々に増していくのを感じながらも、発狂しそうになる気持ちを抑え、
掃除機でそれらの物体を吸い取った。
なんたる衝撃。
快適な日曜の朝が一瞬にして曇天模様へと変化してしまった。
「こんな虫の死骸が大量に転がっている部屋にいられるかい!」と憤りを感じた小生は、掃除半ばに
して家を飛び出した。



しかし問題は行き先だ。特に何をしようという目的もなく家出をしてしまったことに気づき小生は困惑した。
あれこれ考えた後、目的地をバッティングセンターに決めた。
大学時代から勉強に行き詰った時はバッティングセンターで無心でバットを振ると決まっているものなのだ。
今日は朝から一度も勉強していないということはさておき、「いざ、バッティング!」
と気持ちは盛り上がっていた。


高まる気持ちを抑え、暖かな日差しが降り注ぐ中、自転車に乗り目的地に向かった。
場所はどこにあるのかよくわからなかったのだが、風のうわさで西の方にある、と聞いたことがあったので
とにかく西に行こう、と決めていた。
すると途中の信号待ちで、小柄で肌が白く大変美しい19歳(推定)の女性を目にした。
小生、道端に咲く形の整ったたんぽぽを見つけたかのような豊かな気持ちになる。


さらにこの日は風が強かったため、女性の髪がはさはさと跳ね上がり、白いうなじが瞬間あらわになった。
小生は日ごろから女性の体で一番美しい部分はうなじだと思っている。
そのうなじに対する思いたるや、うなじ教を設立してうなじのすばらしさを全国民に広めようと思うほどだ。
それが「チラリチラリ」と誘惑してきたのである。


小生、感激。


チラリズム それは究極 エロティズム


うむ、気分がいいと一句詠みたくなるというものだ。(季語はチラリズム
信号が青に変わり、女性に(心の中で)別れを告げると、再び目的地へと向かってペダルをこぎ始めた。



長い橋を渡っているときも「幸せだにゃあ」とか思いつつ、ふらふらと自転車をこいでいたのだが、
なにしろ向かい風が強く、なかなか前に進まないのだ。
普段の運動不足もあり目的地へとたどり着く前に、小生は休憩しようと思い、マエダスーパーへと入っていった。
特に何を買うわけでもなくうろうろしていたのだが、冷たくて甘いものを求めようとする本能がアイスコーナー
へと向かわせた。
そこで小生の目をひきつけたのが雪見大福(9個入り)200円だ。
普段は300円相当のものが100円引きとなっているそのお買い得ぶりに、すぐさま買おうという気になったのだが
まだ一日は長い、帰りの際にもう一度店によって買って帰ろうと決めた。



その後以前上司からうまいと聞いていたラーメン屋に入り、遅い昼飯を食べると近くのニトリユニクロ
ベスト電器と意味も無くうろうろとしていた。


ベスト電器ではインターネットのパンフレットを手にとっていたら女性店員が近くにすすっと近づいてきて
「お客さまは、現在ネットをつないでおられるのですか?」というような感じで話しかけてきた。
ネットはつないでいるのだが、最近調子が悪くて時間帯によってはつながらないことが多いため
別のところに移ろうかと検討中であったのでその旨女性に伝えた。


すると待ってましたとばかりにフレッツがいかにお得ですぐれているのか、という点について語り始めた。
正直、そこまで本気で考えていたわけではなかったので、目を輝かせて熱意をこめてしゃべる女性の
姿を見て正直に伝えたことを後悔していた。


しかし、この女性、よくよく見るとなかなかかわいいではないか。
24歳(推定)と歳が近いそのはつらつとした女性は、何よりも唇がキュートなのである。
小生は日ごろから女性の体で二番目に美しい部分は唇だと思っている。
その唇に対する思いたるや(以下略)
そこでフレッツに興味は無かったのだが、時間を引き延ばすためにあれこれと質問して、その間
熱意をこめてしゃべり続ける女性の唇の形状の変化を楽しんだ。


小生、満足。


こうして、店を出たころにはすでに日が暮れかけており、洗濯物を取り込むためそろそろ帰宅しよう
と考えた。
そこで、いや、ちょっとまてよ、と。
何か肝心なことを忘れているような気がする、と。
「あ、そうだ」と思い出した小生はマエダに行き雪見大福を購入し帰路へとついた。


家で雪見大福をほうばりながら、今日は非常に有意義な一日であったなあと思った。