クロマティ高校風にじゃんけんを語る

林田:俺さ、そろそろじゃんけんのニューバージョンを考える必要があるんじゃないかと思うんだよな・・。
前田:どうした、突然。
林田:いや、ほら、年末にプレステ3が出るだろ。ワンビースのルフィもギア2、ギア3という技を開発しているし、
   仙台の長町南のモールはpart2まであるし、時代はバージョンアップってのを求めていると思うんだよ。
前田:そ・・そうか?
林田:ああ。だから俺は考えたんだ。これを見てくれないか。
前田:そ、それは俗に言うところのグーチョキパー同時出し!
林田:ああ。俺はこれをグチパと名付けたんだが、これをじゃんけん業界に投入し、ネオジャンケンとして世間に
   広めようと思うんだ。
   じゃんけん一回につき一度だけ最強カードであるグチパを出せることにすれば、戦術に広がりを持たせることが
   できるんじゃないか・・って思ってよ。
一同:おー!
生徒A:さすが林田。
生徒B:チャレンジスピリットに満ちあふれているぜ!


前田:あの・・ちょっといいかな。
   盛り上がっているところ悪いんだけどさ、それだと、みんな一番最初にその・・グチパを出すんじゃないの。
林田:ふ、・・・甘いな前田。
前田:な・・!
林田:その問題はすでに解決済みだ。これを見てくれ。
前田:そ、それは『まことちゃん』に登場する「グワシ」の指使い!
林田:ああ、これはグチパに唯一勝つことができるんだ。
   それから、これを見てくれ。
前田:そ、その無駄に自信満々に親指を突き出すポーズは大木こだまの「チッチキチー」じゃないか!!
林田:ああ、これは、グワシに唯一勝つことができるんだ。
前田:ま、まさか・・!
林田:そう、その通りだ。このチッチキチーに唯一勝つことができるのが・・グチパというわけだ。
一同:おー!
生徒A:さすが林田!なんて斬新なアイディアなんだ。
生徒B:これでネオジャンケンは大方完成したようなもんだな!


前田:あの・・ちょっといいかな。
   盛り上がっているところ悪いんだけどさ、グチパ以外の二つももしかしてグー・チョキ・パーの
   それぞれよりも強いのかな。
林田:ああ、もちろんだ。
   なにせ格が違うんだ。わざわざ新世代のためのネオジャンケンとして新たに投入された指ポーズだからな。
前田:いや、あのさ、それだとグー・チョキ・パーを使う必要性がなくなっちゃうでしょ。
   ネオジャンケンといっても、それだと結局は新しい3種類の指ポーズしか使わなくなるだろうから、根本的には、
   今までのじゃんけんとなんら変わらないじゃない。
林田:な・・!!・・ちくしょう!これで計画は振り出しに戻ってしまったのか!
前田:だからさあ、そんな新しいことを考えずに、もっとシンプルなままでいいんじゃないの。
林田:なるほど、やはりネオジャンケンに投入するのはグチパ一つにしぼるべきだ・・そう言いたいんだな。
   しかし、一体どうすりゃいいってんだ!
前田:いや、そうじゃなくて。


神山:林田君、あきらめるのはまだ早いよ。
林田:な・・!!か、神山。何かいいアイディアがあるのか。
神山:ああ、物事を一方向からしか見ないのは愚かな行為だってことさ。
林田:な、なに!
神山:例えば、スキーのモーグルを見てごらん。
   あれは、ターン、エア、タイムという3つの観点から採点しているんだ。
林田:おお。
神山:だから、ネオジャンケンでも最初に全員のグチパが出そろったときは、「あいこ」としないでそのときの
   指ポーズの美しさ、肌のきめ細やかさ、発声の伸びやかさという3つの観点から採点し、審判が勝ち負けの判断を下す、
   というルールにすればいいんじゃないかな・・。
一同:おー!
生徒A:さすが神山、なんて画期的なアイディアなんだ。
神山:よし、それじゃあ試しに審判を決めてネオジャンケンをやってみようじゃないか。
   ちょうど向こうにフレディもいるし、審判をやってもらおう。おーいフレディ!
林田:・・!!・・待ちな神山。
〈林田、神山の肩をぐっと強く掴む〉
神山:な!何をするんだ林田君。放してくれないか!
林田:お前、こういう流れになることを予想して、フレディに前もって賄賂を渡しているんじゃないだろうな。
神山:な・・!そんな、濡れ衣だよ。
林田:しかし、それを晴らすための証拠は何もない・・そうだな。
神山:た、確かにその通りだけど・・。
林田:ここは、お前が選ぶ審判でなく俺が選ぶ審判を採用してもらうぜ。いいな。
   ちょうどむこうにゴリラもいる。あいつに頼もう。
神山:くっ・・そういう林田君だってゴリラに前もってバナナを渡しているんじゃないだろうね。
林田:な・・!なにぃ!
生徒B:おいおい、落ち着けよ二人とも。
林田:ちくしょう!これじゃあ、せっかくのネオジャンケンも全く機能しないじゃねえか。
   一体どうすればいいってんだ。
神山:・・・林田君、僕にいい考えがあるよ。
   ここは公平を期するために、旧ジャンケンで勝った者が選んだ審判を採用するというのはどうだろう。
一同:おー!
林田:さすが神山!過去の遺産は闇に葬らずに有効活用しようってわけだな!


前田:あの、ちょっといいかな。

                                       完